Twin's Story 外伝 "Hot Chocolate Time" 第2集 第12話

夫婦交換タイム

1.幸せな夫婦2.フラッシュバック3.交渉4.キス5.ホテル6.浴室7.ドリンク8.前戯9.昔話10.クライマックス11.もう一つのクライマックス12.余韻

〈11.もう一つのクライマックス〉

 

「ケンジおじ、何度もお願いして申し訳ないんだけど、」

 ベッドに仰向けになった真雪が、横にいるケンジに顔を向けた。

「どうした? 真雪」

「貴男はいやだ、って言うかもしれないけど、あたし、どうしてもやって欲しいことがあるんだ」

 

 真雪が自分を見つめる瞳の深い色にたじろいで、ケンジは思わず息をのんだ。

 

「おまえが……そう思っていることを、俺は拒絶できない。そんな気がする」

「ああ……」真雪はため息をついて目を閉じた。「あの時と同じ」

「あの時?」

「龍に、あたしの口に出して、ってお願いする前、龍も同じこと言ってくれた。あたし、嬉しい」真雪は涙ぐんでケンジを見た。「ケンジおじに抱かれることを決心して、ほんとに良かった」

「そうか……。龍と同じこと……」ケンジは真雪の髪をそっと撫でながら、頬を伝った涙を親指で拭った。「それで、お願いって、何なんだ?」

「いよいよクライマックスだけど、ケンジおじ、あたしの中にゴムなしで直接出して。できたら二回」

 

「ええっ!」ケンジは驚いて真雪の顔を見た。「お、おまえ、龍以外のオトコから中に出されるの、絶対にいやだ、って言ってたじゃないか」

「龍とも話し合った結果なんだ、これ。はじめからケンジおじのものを、あたし取り込むつもりだった」

「ど、どうしてそんな……。しかも二回も……」

「そうでないと、板東とのあの忌まわしい出来事が、クリアできない」

「納得するように言ってくれないか、真雪」

 

「つまりね、」真雪は身体をケンジに向けた。「板東に二晩も続けて中出しされたあたしは、妊娠こそしなかったけど、精神的にかなり参っちゃって、自分の中にいつまでもあの男のものが残っている気がしてた」

「でも、龍がそれを癒してくれたんじゃないのか?」

「うん。龍はそれから前以上にいっぱいあたしを愛してくれて、いっぱい中にもそのエキスを注ぎ込んでくれて、彼の愛情を十分受け取ることができた。そのお陰で二人の人生最高の宝物も授かった」

「それでいいじゃないか。まだ何か気がかりなことが?」

「龍のエキスで中和できないものが、ほんの少し、まだあたしの中に残ってる。それは年上の男の人への拒絶感、というか、こわばりというか……」

「聞いた。龍にそのこと」

「そうなんだ。だからその残りの1㌫を完全になくすために、ケンジおじが出してくれるものが必要なの」

 

「真雪……」

「ごめんね、理屈っぽくて。何言ってるかわかんなかったよね?」

「いや、おまえや龍の気持ち、俺、感じるよ。わかるとかわからないとかじゃなくて、感じる」

「ケンジおじ……」

 

 真雪はケンジの逞しい胸に、そっと指を這わせた。「あたしね、今でもどうしてそんなことしたのか、わからないんだけど、」

「うん」ケンジは真雪に身体を向けた。

「板東との最初の夜は、酔ってて判断力が鈍ってたから、あんなことになったのはお酒のせいにもできる。でも、」

 

 真雪はケンジの胸から手を離し、自分の胸に移した。

 

「その次の夜も板東に誘われて抱かれた。お酒なんか飲んでなかったのに……」

「真雪がその時、そいつに何かを求めていたってことか?」

「あたし、さっきも言ったけど、身体を癒されたかったんだと思う」

「気持ちは?」

「どうかな……。もしかしたら気持ちも癒されることを期待してたかも」

「龍のこと……思い出さなかったのか?」

 

 真雪は目を閉じた。

「自分を追い込んでた気がする。龍のことは思い出したくなかった、っていうか、その時彼のことを思い出しちゃいけない、みたいな気持ちになってた」

 

「じゃあ、その時も結局まだ判断力が鈍っていた、ってことじゃないか。別に酒に酔ってなくても、人間そんな風になってしまうことはあるよ」

 真雪は瞼を開いてケンジの目を見た。

「だから余計にあたし、自分のことが許せなかったんだ」

 ケンジはだまってうなずいた。

「前の晩に、期待してた癒やしをもらえなかったから、その晩はもしかしたら、って思ってたような気がする」

「でも結局だめだったんだろ?」

「うん。その時は、あたし板東が登り詰める時、拒絶して、中に出さないで、って身体を押しやったけど、あいつは構わずあたしの奥まで押し込んで果てた」

「拒絶しようっていう気になってたのなら、大丈夫。気持ちまでは持って行かれてなかった、ってことだよ」

「そうだね」

 

 真雪は安心したようにため息をついて、身体を起こした。ケンジもベッドに座り直した。

 

「そして三回目も……」

「うん」ケンジは真雪の目を見つめた。

「三日目はさすがにあたしも躊躇したけど、板東はあたしの腕を掴んで無理矢理自分の部屋に連れ込んだの」

「抵抗……しなかったのか? 真雪」

 真雪は目を伏せて黙り込んだ。

「真雪?」

 顔を上げた真雪の目から涙がこぼれた。「あたし、あの時、どんどん自分の感情がなくなっていってた気がするんだ……」

 ケンジは何も言わずに真雪をそっと抱いた。彼女の身体は少し震えていた。

「あのオトコのどんな言葉も意味を持たなかったし、その時どうやって自分が服を脱いだのかも覚えてないし……」

「真雪……」

「安らぎや癒しはもちろんだけど、温かみも、冷たさも、不快感さえ感じられなくなってた。ベッドに寝かされてた時、身体も心も全然無反応になってた……」

 真雪の目からは涙が溢れ続けていた。

「許して……龍……」真雪は震える声でそう呟いた。

 

 ケンジはしばらくの間、真雪の身体を包みこむように抱きしめていた。

 

 真雪が小さく震えるため息をついた時、ケンジは彼女の耳元で囁くように言った。「でも、その晩は結局、板東とは繋がらなかったんだろ?」

「うん」真雪は顔を上げて目元を指で拭った。「あいつがあたしの胸に触った時、あたし一気に目が覚めた。突然龍のことを強く思い出したんだ」

「突然?」

 真雪はケンジの手を取って自分の胸にあてた。「龍ってさ、あたしのおっぱいをいつもたっぷり優しく愛してくれるんだ。そのことを身体が思い出したんだよ」

「なるほどな」

「そしたら、もう嫌悪感と拒絶感が一気に身体の中から噴き出してきて。部屋を飛び出したんだ」

「良かった……真雪が目を覚ましてくれて」今度はケンジが目を潤ませた。

 

「ごめんね、ケンジおじ。せっかく盛り上がってたのに、水差すようなこと話しちゃって」

 ケンジは恥ずかしげに数回瞬きをして、小さく鼻をすすった。「そんなことないよ。その時のことを話すってのも、今回のトレースの目的だろ?」

 真雪は目を閉じた。「そうだね」

 

 ケンジは優しく真雪の髪を撫でた。

 

「ケンジおじに話を聞いてもらってると、気持ちがどんどん楽になっていく。ありがとう」

「うれしいね。俺でも役に立てて」

 真雪は再びシーツに横たわり、少し小さな声で言った。「でも、実はね、あたしおじさんと、この夜を迎えるのに、少し不安があったのは事実」

「そうなのか?」

「うん。いくらケンジおじでも、年上の男性に抱かれることで、またフラッシュバックが起きちゃうかも、って。少しだけ」

 

 ケンジは上半身を起こしたまま、少し真雪から距離を置いた後、優しい目で真雪を見下ろした。「おまえが不安なら、ここまでで終わりにしようか」

 真雪は柔らかく微笑みながら、ケンジに両腕を伸ばした。「途中でやめちゃイヤ」

「え? だって、おまえ……」

「杞憂だった。レストランを出て、おじさんと腕を組んで橋を渡ってる時には、もう不安なんか全然なくなってたもん」

「ほんとか?」

「うん。それに、今までケンジおじにいろいろしてもらったり、話を聞いたり聞いてもらったりしてるうちに、龍と話し合って決めた今夜のこのイベントが間違ってなかったって、確信が強くなっていった」真雪はケンジの目を見つめた。「ほんとにありがとう」

 ケンジは安心したようにため息をついて、真雪のそばに横たわった。「良かった……」

 

 

「じゃあ、いよいよフィナーレ」真雪は笑った。「いっぱい注ぎ込んでよ。あたしの身体の奥に」

 ケンジは赤くなって言った。「今は大丈夫なんだろうな?」

「え? 何が?」

「確実に安全期なんだろうな? 俺、孫より年下の子どもを作る気はないぞ」

 真雪は笑った。「大丈夫。ミカさんもあたしも今は安全期だよ。間違いない」

「え? ミカもなのか?」

「そうだよ。今日を設定したのは、それに合わせたんだもん」

「そ、そうだったんだ……」

 真雪はケンジの耳に口を寄せて囁いた。「ミカさんも龍に中に出してもらうつもりだって、言ってたよ」

「えっ? でも、龍はおまえ以外の女性の中には絶対に出さない、って誓ったんだろ?」

「ミカさん、龍を落とせるかな」

「微妙だな」

 

 真雪はケンジの身体に腕を伸ばした。「愛し合おうよ、ケンジおじ」

「おまえの中に出すのは、だけどこれっきりだからな。って、愛し合うのもこれっきりだが……」

「うん。わかってる。あたしも龍以外のものを受け入れるのは、これで最後。唯一の例外」

 

「真雪、おまえは俺にとっても大切な女性だ」

 

「ありがとう、ケンジおじ。あたしにとっても……」

 

 真雪はケンジに顔を近づけ、そっと頬に手を当ててキスをした。そして額同士をくっつけ合って囁いた。「激しくイかせて。そして、できるだけ奥の深いところに放ってね」

 

 

 ケンジはゆっくりと真雪の身体に覆い被さった。そして熱い息を吐きながら、口を自分の唇で塞いだ。そして真雪の唇を舐め、吸い、舌を絡め合い、柔らかく拘束しながらまた吸った。

「んん……」真雪は小さく呻いた。

 

 ケンジのキスは長く続いた。真雪は大きな海の中にゆらゆらとたゆたうように、身体を静かに揺らしていた。いつしか彼女のショーツはぐっしょりと濡れていた。

 ケンジの手が真雪の身体を温かく抱きしめながら、背中のホックを外した。豊かなふたつの膨らみがぷるん、と解放された。ブラを取り去ったケンジは大きく、温かな手で、彼女の乳房を包み込み、優しくさすった。

「ああ……」真雪は熱いため息をついた。

 

 ケンジの口が真雪の乳房を舐め上がり、乳首を捉えて吸った。舌で小さく転がして、また吸った。真雪の身体の奥に、火がともった。そしてそれはどんどん身体中に燃え広がっていった。

 

 ケンジの舌は、真雪の全身をくまなく移動し、最後に彼女の中心で止まった。

「んあああっ!」真雪はびくん、と身体を仰け反らせた。

 

 ケンジはそっとすでにじっとりと濡れている真雪の黒いショーツを脚から抜き去り、そこにあった小さな粒を唇で挟み込んだ。「あ、ああっ! ケンジおじっ!」

 

 ケンジの舌や唇が彼女の豊かに潤った谷間とその中、入り口にある粒を刺激した。真雪は身体をくねらせ、その快感に身を委ねた。「も、もう、イ、イっちゃうっ! あああああっ! ケンジおじっ!」

 

 がくがくがく! 真雪の身体が激しく硬直し、大きく震えた。

 

 

 ケンジは真雪の身体の火照りが落ち着くまで、顔を彼女の秘部に埋めたまま、腰をぎゅっと抱きしめ、じっとしていた。

 

 やがて真雪が言った。「ケンジおじ、キスして……」

 ケンジは身体を起こし、真雪を上から優しく抱いてそっとキスをした。

「優しい。ケンジおじ、優しいね。自分はイかなくても、相手を気持ちよくできるなんて……」

「男はそうでなきゃ」ケンジはふっと笑った。

「板東は、あたしが全然感じてないことがわかってても、無理矢理中に入れて、自分だけ動いて、奥に出して一人だけいい気持ちになってた。そんなのほんとのセックスじゃないよね」

「それはセックスじゃなくて、レイプだ」ケンジが言った。「いつでも出せばイける男だからこそ、相手の女性をイかせられなきゃ、そのセックスは失敗だ。男の敗北だよ」

 

「龍がケンジおじの息子で、本当に良かった……」真雪は上になったケンジの首に手を回して、キスをした。

 

 ケンジは身体を起こした。真雪はだまって両脚を大きく開いた。

 ケンジは自分の下着を脱ぎさり、真雪の脚の間にひざまずいて彼女の目を見つめた。真雪もケンジの目を見つめ返した。

「ケンジ……」

 

 真雪の身体が小さく震え始めた。そして彼女は目を固く閉じた。

 

「真雪?」

 真雪の身体の震えが大きくなってきた。

「大丈夫か? 真雪。ここでやめようか?」ケンジは不安そうに言った。

 真雪が喉から絞り出すような声で言った。「だめ! やめないで、来て、ケンジおじ。大丈夫」

「で、でも……」

「平気。あたしの中に入ってきて。そうすれば……」

「ほんとに……いいのか?」

 

 真雪は黙って大きくうなずき、出し抜けに起き上がると、シーツに正座をしていたケンジに抱きつき、耳元で囁いた。「ケンジ、仰向けになって」

「え?」

「あたし、上になっていい?」

「あ、ああ。いいけど……」

 

 ケンジは真雪に促され、仰向けになった。真雪はケンジの両腕をとり、枕の脇に置かれていたタオルで両手首を縛った。

「えっ?」ケンジは顔をもたげて真雪を見た。「ま、真雪……」

「知ってるよ、ケンジおじって、拘束好きなんでしょ?」真雪はふふっと笑った。「ミカさんによくこんなことされてるらしいじゃん」

「そ、そんなことまで聞いたのか」

 ケンジは赤面した。

「燃えるでしょ?」

 真雪は拘束したケンジの両腕を頭上に上げさせ、ゆっくりとケンジの太股に跨がった。

 

 また真雪の身体が小さく震え始めた。

 

「真雪、本当に無理しなくてもいいぞ。俺はいつでも止められるから」

「だ、大丈夫」

 真雪は少し焦ったようにそう言うと、腰を上げてケンジの大きくなったペニスに手を添えた。

 

「ケンジ……」真雪はケンジの目を見つめた。

 ケンジはひどく切なそうに真雪の視線を受け止め、ぎこちなく笑った。

 

 真雪はケンジの太く、熱く脈動しているものを自分の秘部に導き、決心したように一気に腰を落とした。

「んんっ!」

「うああっ!」ケンジが大声で叫び、身体を仰け反らせた。

 

 はあっ……

 

 真雪は熱く長いため息をついた。彼女の身体の震えは嘘のように止み、全身がピンク色に上気し始めた。

 

「真雪……」

「ケンジ……」

 

 真雪はゆっくりと腰を上下に動かし始めた。

「んっ、んっ、んっ……」

 ケンジの濡れそぼったものが真雪の中に出し入れされる度に、彼は甘い声で呻いた。

 

「ケンジ、いい気持ち、とってもいい気持ち……」

 真雪の腰の動きが大きく速くなっていった。

 苦しそうに歯を食いしばったまま、ケンジは上になった真雪を薄く目を開けて見た。大きく揺れる丸い二つの乳房の向こうで、真雪はうっとりした表情をして喘いでいる。

 彼は、真雪が乗馬をしている姿を思い出していた。事実、その腰の動きはまるで馬を疾走させているようにリズミカルに上下している。

 

 不意に真雪は両手を伸ばしてケンジの胸に手のひらを置いた。

 さらに腰の動きが激しくなっていく。

 真雪は少し前屈みになり、秘部の上の膨らみをこりこりとケンジの同じ場所に擦りつけた。

 

「あ、あああ……ま、真雪」

 ケンジの身体の温度が一気に上昇した。

 

「ケンジ、イって! あたしの中に……」


「ま、真雪、いいのか? 本当に中にいいのか?」ケンジは喘ぎながら言った。

「来て。出して。あたしをあなたの想いで満たして、お願い、ケンジ」


「真雪っ! うっ、うううううっ……」


 真雪の身体が細かく震え始め、彼女はそのままケンジの身体に倒れ込んだ。そして真雪はケンジの頬に手を当てて、口を大きく開き、ケンジの唇を覆った。


「んっ、んんっ!」

 ケンジの身体がビクン、と大きく跳ね上がった。


 びゅ……、びゅくっ!


 真雪はケンジから口を離し、叫んだ。「あああっ! ケンジ! ケンジっ!」


「真雪っ! 出、出るっ! ぐうううっ!」

 びゅくびゅくびゅくっ!

 

 ケンジの身体が激しく痙攣を始めた。同時にケンジの身体の奥から噴き上がった熱い想いが、真雪の体内に激しく放出され続けた。

 

「真雪っ! 真雪ーっ!」

「ケンジっ!」

 

 

 長く何度も続いたケンジの反射がようやく落ち着いてきた頃、真雪はケンジの手首に巻かれていたタオルを解いた。

「ごめんね、ケンジ、痛くなかった?」

「平気だ」

 解放された手で、ケンジは真雪の両頬を優しく撫でて微笑んだ。

 

 ケンジはそのまま腕を真雪の背中に回して身体を抱き、ごろりと横に回転して、真雪を下にした。

「大丈夫? ケンジ」

「何が?」

 真雪は少し恥ずかしそうに言った。「二回目……」

 ケンジはふふっと笑った。「今日は、何だか身体の火照りが冷めにくいな」

「そう?」

 ケンジは静かに真雪にキスした。それから自分のペニスを真雪から一旦抜き去り、口をそっと離した。

 

「え?」真雪は小さく声を発した。

 ケンジは柔らかく微笑むと、もう一度、硬く張り詰め、ぬるぬるになって白濁した液を滴らせているペニスを、やはりどぷどぷと同じように液を溢れさせている彼女の谷間にそっと差し込んだ。

「あ……」真雪はまた小さな声を上げた。

 

 ケンジは真雪の谷間の浅いところでゆっくりと動き始めた。

「あ、あ……ああああ……!」真雪の息が荒くなり、再び身体を波打たせ始めた。

 ケンジはそのまま真雪の入り口付近で動いた。微妙に角度を変えながら、彼は真雪の敏感な場所を余すところなく刺激していた。

 

「ああっ! ケンジ! ケンジ! 熱い、あたし、熱くなってる!」

 にわかに真雪が激しく喘ぎ始めた。

「だめ! そこ、感じる。もう、もうだめ! あ、ああああああ!」

「ま、真雪っ!」ケンジはそう叫んでもう一度真雪の口を自分の口で塞いだ。

「んんっ! んんんっ!」真雪が苦しそうに呻く。

 

 そのまま抜けてしまいそうな場所で、しかしケンジは激しくその持ち物を真雪に出し入れした。

 びくびくびくっ! 真雪の身体が細かく震え始めた、ケンジは彼女の口から自分の口を離した。唾液が糸を引いて長く伸びた。

 

「ああああーっ! イく、イっちゃう! ケンジっ! ケンジっ!」

 真雪の中が細かく痙攣し始めた。

 

 突然ケンジが叫んだ。「あ! ま、真雪、真雪っ! 何だこれっ!」

 

 ケンジは慌てた。挿入したケンジのものが、真雪の内壁の激しい蠕動(ぜんどう)運動によって、奥へ奥へと吸い込まれていく。

「うわああっ! 真雪っ! 真雪っ!」

 

 ケンジのものは、一気に真雪の最も深いところへ吸い込まれ、抜き差しならない状態で強く締め付けられた。それでもまだ中の粘膜は執拗に絡みつき、ケンジを強烈な絶頂感へと導いた。

 ケンジの身体はぐっと反り返り、ヒップがぴくぴくと痙攣し始めた。

 

「ああっ! ま、真雪! イ、イくっ! も、もうすぐっ!」

 

 しかし、ケンジの射精はいつまでも始まらなかった。

 

「な、何故だ! なんでイけない?! やばい! う、うわああああーっ!」

 

 真雪の上で、ケンジはペニスを強く固定されたまま身体を大きくうねらせ、激しくもがいた。

 

「ケンジっ、ケンジっ! も、もう少し!」真雪の身体もがくがくと大きく痙攣した。

 

「だめだ! 真雪っ、真雪っ! く、苦しいっ! ど、どうにかなりそうだ! 許してくれ! 真雪っ!」

 

 全身から噴き出した大量の汗がだらだらと流れ落ち、ケンジは激しく胸を上下させながら速く大きな呼吸を余儀なくされていた。

「も、もうダメだ! 真雪っ! イかせて! イかせてくれっ! 頼む、お願いだっ! 真雪ーっ!」

 

「ケンジ! イってっ!」ひときわ大きな声で真雪が叫んだ。

 

 びゅるびゅるっ! びゅびゅっ! びゅくびゅくっ!

「ぐああああーっ!」ケンジは大声で叫び、全身をびくびくと大きく痙攣させた。

 

 強烈な勢いでケンジの身体の中心から噴き上がったエキスが、何度も真雪の身体の奥深くに打ち付けられた。

 

「ケンジ! ケンジっ!」真雪はいつまでも叫んでいた。

 どくっ! どくっ!

「ま、真雪っ! 真雪っ!」ケンジも射精の脈動と共にずっとびくんびくんと身体を震わせ続けながら叫び続けた。

 

 二人の身体の熱さは収まることを知らなかった。真雪の身体の中心にある粘膜はケンジのペニスに絡みつき、それはどくんどくんとさらに大きく脈打っていた。

 

「真雪、ま、また、俺、うううっ!」

「来て! ケンジ! 中に! も、もう一度!」真雪は身体を震わせた。

「また来る! 出る、真雪、真雪っ!」


 全身に汗を光らせながら、二人の身体は一つになったまま大きく、激しく波打つ。


 ケンジの身体の中から出された液が真雪自身から溢れだした泉と混じって、二人が身体を大きく揺り動かす度に、びちゃびちゃと大きな水音をたて、まるで亀裂の入った水道管から水が溢れるようにシーツや二人の太股に液が迸り出た。

 

「ま、またイくっ! 出る、出るっ! うああああーっ!」「あたしもイってる、イってるから! あああっ!」ケンジと真雪は同時に叫んだ。

 

 そしてケンジの身体の奥から、再び熱い想いが勢いよく真雪の身体の中心に贈り届けられた。

 びゅるるるっ! びゅくびゅくびゅくっ!

 

 真雪の中にいつまでも残っていた忌まわしい出来事の残渣が一気に消え去り、浄化されていった。

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