Twin's Story 外伝 "Hot Chocolate Time" 第1集

第6話 避妊具タイム

 ――ケンジ、マユミ共に16歳、高校二年生。

 

「なあ、マユ、」

「なあに? ケン兄」

 

 双子の兄妹で、壁一つ隔てた隣同士の部屋で暮らしていたケンジとマユミが、ふとしたきっかけで一線を越えてから1ヶ月程経ったある日。ケンジの部屋。

 

「お、俺さ、今日ゴ、ゴム買ってきたんだけど……」

「ゴム? あ、避妊具だね。コンドームでしょ? やっと買ってきたんだ」

 

 ケンジはマユミの顔をしげしげと見て言った。「お、おまえさらっとよく言えるな。恥ずかしくないのか?」

 

「町中に言いふらしてるわけじゃないし。今はケン兄と二人だけじゃん」チョコレートをつまみながら、マユミは笑って言った。

「俺、ずっと気になってたんだ。いっつもお前の中に出してて……なんか、俺だけ手抜きしてるみたいでさ」ケンジは申し訳なさそうな表情で言った。

「何それ……手抜きって……。そんなことあたし全然気にしてないよ。基礎体温も計ってるし、順調だし。それに危ない時期はケン兄、ちゃんと我慢してくれてるじゃん」

「そ、そうだけどさ……」


 マユミは手に持ったコーヒーカップを口から離して目を上げた。

「そうか、危ない時でもやっぱりあたしに入れて出したいんだ、ケン兄。そうなんだね?」

「ほんとにおまえ、大胆だな。言うことが」ケンジは赤くなって言った。

「いいよ。やってみようよ。ケン兄。それつけて」マユミはパジャマを脱ぎ、ケンジのベッドに横になった。「きて、ケン兄」

「う、うん……」

 

 ケンジも下着一枚の姿になって、ベッドに仰向けになったマユミに覆い被さった。

 

「ケン兄に乗っかられると、とっても気持ちいい。好き、ケン兄」マユミはそう言ってケンジの首に手を回し、キスをした。

 

 二人は下着越しに秘部を擦りつけ始めた。「あ、ああん……」マユミが甘い喘ぎ声を上げた。

「マユ……」もう一度ケンジはマユミの口を吸った。そして舌を絡ませながら、マユミの背中に手を回してブラのホックを外した。マユミは自分でブラを手から抜き去り、ケンジの背中に腕を回した。

 ケンジの大きな手のひらがマユミの乳房にあてがわれ、ゆっくりとさすり始めた。「あ、ああん……」

 ケンジは口を移動させて、乳首を咥えた。そして唇で挟み込んだり、舌で舐めたりした。

 マユミの身体はどんどん熱くなっていった。

 

 

「マユ、着けてみるから」ケンジはマユミから身体を離した。

「イく直前に着ければいいんじゃない? 出さなければそのままあたしの中に入ってもいいんでしょ?」

「そういうわけじゃなさそうなんだ」

「え? どういうこと?」

「興奮が増してくると、男は透明で粘り気のある液を出し始めるの、知ってるか?」

「知ってる。ケン兄、おっきくなってる時、先が濡れてるもんね。あれでしょ?」

「そ、そうだ」

「あたし、咥える前にいつも見てるからわかるよ」

「そ、そうなんだ……」ケンジはばつが悪そうに頭を掻いた。「あれ、尿道……えっと、球腺液って言うんだけど、」

「え? なに?」

「だから『尿道球腺液』だよ。別名『カウパー腺液』」

「なんでそんな難しい名前、覚える必要あんの? ケン兄」

「いいだろ。きょ、興味あるんだよ」ケンジは赤面した。「あの液の中にも精子が紛れ込むことがあるらしい」

「そうなの?」

「ああ。だから、興奮してそのまま入れたら、射精しなくても、危ない時期なら妊娠する可能性もあるってわけだ」

「そっかー。じゃああたしに入る前に、コンドームを着けとかなきゃいけない、ってわけなんだね?」

「そういうこと」

 

 マユミは出し抜けにケンジに抱きつき、彼を下にしてベッドに押さえつけた。

「えっ? マ、マユ?」

「研究熱心なケン兄に倣って、あたしも観察」

「え? な、何を?」

 

 マユミはケンジの下着を一気に脱がせた。

「すごい、ケン兄、知識を熱く語ってたくせに、ここは元気なままだよ」

「あ、あんまりじっくり見ないでくれよ、マユ」

「あ、出てる出てる。透明で粘り気のある尿道なんとか液」マユミは面白そうにケンジのペニスの先端に指を当てて、分泌されていたその透明な液をぬるぬると塗り広げ始めた。

「ああ、あああっ!」ケンジは喘ぎ始めた。

「感じる? ケン兄」

「マ、マユ、目的が違う、あああっ! そ、そこ、敏感なんだっ!」

 

 マユミはケンジのペニスをいきなり咥え込んだ。

「マユ、マユっ!」ケンジは慌ててマユミの頭を両手で押さえ、口をペニスから放させた。

「なに? ケン兄、もっとしたい。もっとぬるぬるにしてあげるよ」

「あ、あのな、マユ、」ケンジは身体を起こしてマユミの両肩に手を置いた。「ぬるぬるにしてくれるのはありがたいんだけど、」

「うん」マユミはベッドに正座をしてケンジを上目遣いで見つめた。

「ゴム着けた時、内側がぬるぬるだと外れやすいだろ?」

「そっかー」

「それに、俺、もう十分おっきくなってるから、早く着けさせてくれないかな」

「わかった」マユミは笑顔で言った。「着けて」

「よし。じゃあ、ちょっと待っててくれよ」

 

 

 ケンジはベッドから降りて立ち上がり、机の上のコンドームの箱を開けて、プラスチックの袋をひとつ取り出した。

「ねえねえ、ケン兄、」

「なんだ、マユ」

「着けるとこ、見せて」

「ええっ?」

「どうやって着けるのか、あたし知りたい」

「そ、そうか?」

 

 ケンジはマユミに向き直り、天を指して硬くなったペニスにコンドームを被せ始めた。「こうして、先端をつまんで被せたら、根元に向かって巻きを広げていくんだ」

 

 マユミはケンジの手の動きを熱心に見つめていた。

 

「これでよし」

「おお! 手際いいね。ケン兄いつの間にそんなに上手にできるようになってたの?」

「そりゃ、お、男はこれくらいできなきゃ」

「まさか、」マユミはケンジを下から見上げるようにして睨んだ。「あたし以外のオンナとセックスしてるんじゃ……」

「マユ、俺の愛を疑うのか?」ケンジは腰に手を当てて言った。

「それ、浮気してる男が口にする常套句だよ」

ケンジは少しむっとしたような表情で返した。「おまえが俺のことを信じてないなんて、俺、情けないよ」

「それも」

 

「あのなー、マユ、いいかげんにしろよ」ケンジは笑いながら全裸のままベッド上のマユミに飛びかかった。「そういうひねくれたやつは、こうしてやるっ!」

 ケンジはマユミが唯一身に着けていたショーツを乱暴に取り去った。

「きゃー」マユミは笑いながら悲鳴を上げた。

 

 マユミを仰向けにベッドに押し付け、ケンジは彼女の身体に覆い被さった。

 

「マユ……」

「ケン兄……」

 二人はそっと唇を重ね合った。

 

 ケンジはマユミの乳房をさすり、舐めた後、彼女の愛らしい茂みをかき分けて、すでに濡れ始めた谷間とその入り口の小さな蕾を舌で味わい始めた。

「あ、あああ、ケン兄……」マユミは息を荒くしながら身体を波打たせ始めた。「ケ、ケン兄、もう、来て、入れて」

「わかった。いくよ、マユ」

 

 ケンジは、大きく跳ね上がったペニスを静かにマユミの中に埋め込み始めた。

 

「あ……」マユミは短く喘いだ。

「ん、んんっ……」ケンジはいつもと違う抵抗感を覚えていた。

「い、いやっ……」マユミが眉間に皺を寄せ、小さく言った。

 

 程なくケンジのペニスはマユミに深く入り込んだ。ケンジは腰を前後に動かし始めた。

 

「んんっ……」マユミは苦しそうに呻いた。

「マ、マユっ!」ケンジの動きが激しくなっていく。

 

 ケンジは最初、豊かに潤ったマユミの中で順調に動いていたが、しだいにいつもとは違う摩擦を感じ始めた。

「んっ、んっ、んっ!」それでもケンジは盛んに腰を前後に動かした。

 

「あ、で、出る、出るっ!」急速に高まった興奮がケンジの身体の奥にあったものを放出し始めた。マユミの中にではなく、コンドームの中に。

 

 

 はあはあはあはあ……。ケンジは激しい息を落ち着かせようと腕をつっぱり、マユミを見下ろした。

「マ、マユ?」

「ケン兄……」マユミの目からこぼれた涙が頬を伝って流れた。

「ど、どうしたんだ? マユ?」ケンジは慌てた。

「ケン兄、抜いて。お願い……」

 ケンジは焦ってマユミの中で萎えた自分のものを抜き去った。ぶら下がったコンドームの先が白い液によって大きく膨らんでいる。ケンジはその避妊具を外し、口を結んだ。

 

「マユ!」ケンジはマユミの身体を抱いた。「いったい、どうしたんだ?」

「ごめん、ケン兄、あたしだめ、それ……」

「え?」

「ケン兄が壁の向こうにいるような気がした」

「か、壁の向こう?」

「あたし、ただの器になってた気分。ケン兄はあたしの身体を使って一人エッチしてた」

「マユ……」

「ごめんね、ケン兄。ゴムつけなきゃ危ない時にはあたしに入れられないんだよね」

 

「痛かったか? マユ」ケンジはマユミの髪をそっと撫でながら言った。

「少し」

「そうか、ごめんな、マユ。おまえがそんなだったなんて、俺、気づかなかった」

「いいの。あたしこそ、ごめんね」

 

 ケンジは指でマユミの涙を拭った。「俺、もうコンドーム、二度と使わないよ。捨てる」

「え? なんで。いいよ。そのうち慣れるよ、きっと」

「いや。俺、マユが気持ち良くなれないようなセックスはしたくない。俺だけゴムの中でイくぐらいなら、おまえを指や舌でいっぱい刺激して、イかせる方がいい。俺はイかなくても、マユが気持ち良くなってくれれば、俺は満足だから」

「ケン兄はオトコだから、そうはいかないよ、きっと」

「気持ち良くなっておまえが眠ったら、俺、一人でやるよ」

「やだ。それはいや。ケン兄があたしを気持ち良くしてくれるんだったら、あたしもケン兄を気持ち良くしてあげたい。そして満足して二人で抱き合って眠りたいよ」

 

「マユ……」

 

 マユミは微笑みながら言った。「だからさ、危ない時期は、あたしに入れないでお互いが気持ち良くなる方法を研究しよ」

「研究?」

「ケン兄研究熱心だから、きっといろいろできるよ」

「そうだな」ケンジも微笑んだ。「じゃあ、今、俺だけイっちゃったから、これからお前をイかせるぞ。いいか?」

「ホントに? 嬉しい。どうやるの?」

「俺のゴールドフィンガー」ケンジは右手を広げて見せた。


 ケンジは再びマユミをベッドに寝かせてそっとキスをした。そしてそのまま乳首や秘部を時間を掛けて舐め、刺激した。

「あああん、ケン兄、気持ちいい……」

 ケンジは左手で彼女の身体を抱き、乳首を口で捉えながら、右手の指を谷間にそっと挿入し始めた。

「ケ、ケン兄、あ、あああ……」

 ケンジは指先でマユミの内壁をさすった。小さく出し入れしながらこりこりしたものを探し当てると、そこを優しく、何度も指先で刺激した。

「ああああっ! ケ、ケン兄、ケン兄っ!」マユミは激しく身体を震わせて喘ぎ始めた。「イ、イっちゃう、あたし、イっちゃううっ!」びくびくびくっ! マユミの身体が何度も跳ね上がった。ケンジは抱いた左手に力を込め、大きく口を開いてマユミの乳首を咥えた。

 

 

 マユミの荒い呼吸が収まると、ケンジはマユミの身体に寄り添い、優しく髪を撫でながら、長く静かなキスをした。はあっ……。口を離した時、マユミは大きなため息をついた。

「イけた?」ケンジは耳元で囁いた。マユミは顔を上気させたまま小さくうなずいた。 

 

「俺もこれで満足だよ、マユ。ゴムなんかなくても大丈夫だな」

「うん。抱き合って眠ろ、ケン兄」マユミはケンジの背中に腕を回し、その逞しい胸に顔を埋めて瞳を閉じた。ケンジも柔らかなマユミの身体を抱き、満ち足りた気分に浸りながら目を閉じた。

 

2013,7,27 最終改訂脱稿

 

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《コラム》

【尿道球腺(にょうどうきゅうせん)】

 

・性的に興奮しているとき

 尿道球腺は、カウパー腺ともいい、前立腺と尿道海綿体の付け根にある左右1対、約1cmくらいの球形をした袋(ふくろ)状の器官で、約3cmの導管により尿道へとつながっています。

 射精する直前に分泌されるカウパー腺液[尿道球腺液]をつくり分泌します。

 

・尿道球腺のはたらき

 尿道球腺のはたらきは、カウパー腺液をつくり、射精される直前に分泌することです。

 カウパー腺液は、無色透明のぬるぬるとした粘りけのあるアルカリ性の粘液です。男性が性的に興奮すると、精液よりも先に、尿道に分泌され、外尿道口(がいにょうどうこう)に出てきます。先走り汁、ガマン汁ともいわれます。

 尿道をアルカリ性にするとともに、女性の膣(ちつ)内へ陰茎(いんけい)をスムーズに挿入させるはたらきがあります。

 

 また、膣内の酸(さん)性の環境をアルカリ性へと変えます。

 膣内は普段、外部から侵入してくる細菌を殺すため酸性になっています。精子も酸性状態では活動が悪く、死んでしまう精子もいるので、アルカリ性の環境が必要となります。精子は弱アルカリ性の環境では活発に活動できるようになり、射精後、膣から子宮へと卵子を目指して泳いでいけるようになります。

 

・カウパー腺液への精子混入

 性的に興奮し勃起(ぼっき)している状態では、カウパー腺液の中に精子がしみ込んでいることが多く、射精する前にカウパー腺液とともに分泌されます。人によっては、精子濃度が高く、元気な精子が混ざって分泌されることもあります。

 そのため、射精する前にも受精、すなわち赤ちゃんをつくることが可能です。

 避妊(ひにん)をするのであれば、膣と亀頭(きとう)が触れる前、勃起をすると同時にコンドームつけるなど、適切な避妊法をとる必要があります。

 

「性教育のおはなし SEIOHA」より引用