小説の「長さ」について

 このサイトでは、小説の案内ページなどに並んだ作品名に『文字数』『読了時間』『文庫本換算○○ページ』という情報を併記しています。これは、その作品がどれくらいの長さのものなのかを知っていただくために付記しているものです。

 文章の長さを測る目安は、例えばある投稿小説サイトでは、500文字を読むのに1分かかる、と想定して読了時間を表示してあります。その計算でいくと、僕の作品では、

 

本編第1作『Chocolate Time』が読了にかかる時間は約145分72,408文字

外伝第3集第1話『鍵盤に乗せたラブレター』約142分70,928文字

 

 このように文字数に1500程の差があるので時間も3分程違います。しかし、この二つの話を文庫本に換算したページ数は、

 

『Chocolate Time』187ページ

『鍵盤に乗せたラブレター』186ページと、たった1ページしか変わりません。

 

また、

『鍵盤に乗せたラブレター』と外伝第3集第2話『忘れ得ぬ夢~浅葱色の恋物語』を比較すると、

『鍵盤』70928文字、142分  『忘れ得ぬ』84009文字、168分と明らかに『忘れ得ぬ』の方が長いのに、文庫本に換算すると、

『鍵盤』186ページ > 『忘れ得ぬ』182ページ 

と、ページ数は逆転してしまっています。これはどういうことでしょうか……。 

《例1》

《例2》

 例えば角川文庫の書式は、一ページあたり42文字×18行で、それに合わせたサンプルをご覧頂くと、内容によって明らかに文字数が違うことがわかると思います。

 

 《例1》は改行や空白行が少なく、一つの段落が長く続いています。このページは719文字あります。一方《例2》は会話文が中心で一文一文が短いため、全部で364文字しかありません。

 つまり同じ文庫本一ページでも、内容によって文字数に開きが出てくるということなのです。

 

 ところが、これを原稿用紙に書き換えたとすると、また様子が変わってきます。

 下の表をご覧頂ければお解りの通り『忘れ得ぬ』の方が18枚多くなってしまいます。

 

 

作品名 総文字数 読了時間 文庫本換算 原稿用紙換算
鍵盤に載せたラブレター 70928 142分 186ページ 256枚
忘れ得ぬ夢~浅葱色の恋物語 84009 168分 182ページ 274枚

 

 作品によっては短い会話が中心になっていたり、ある効果を狙って空白行を多用したりといろんなスタイルがあります。そう考えると、小説の「長さ」というのは、本として装丁された場合のページ数が多いからと言って、必ずしも文字数がたくさんあると言い切れないものなのです。

 

 文章の「長さ」というのは、その表し方によって、受け取る感覚が違ってくるということです。

 

 

 読み終わる時間の目安が知りたければ『文字数』を、物理的な量を掴みたい場合は『ページ数』を参考にすればいいということになりますね。