Twin's Story 6 "Macadamia Nuts Chocolate Time"

《11 新たな一日》

 

 はあはあはあはあ……。ミカと健太郎は肩で息をしていた。

 

「け、健太郎、そろそろ夜明けだぞ……」

「ミカさん!」健太郎は下になったミカをまた強く抱きしめた。そして豊かな乳房に顔を埋め、鼻をこすりつけた。

「お前、タフだな。さすがに高二だけあって……」

「ごめん。俺、押さえきれなくて……」

「結局、何回あたしの中に出したんだ?」

「5回……だっけ、あれ? 6回だったっけな……」

「しかも、一度も抜くことなしに……。まいった……」ミカは頭を抱えた。

 

 つまり彼らは最初の挿入から数時間も繋がったままなのだった。

 

「強烈な初体験だったな、健太郎」

「ありがとう、ミカさん」

 

 

 健太郎のペニスがようやくミカから抜かれた。

「健太郎」

「何?」

「また、あたしとやりたい?」

「うん。もちろん。でも、」

「でも?」

「俺、我慢する」

「あはは、別に我慢しなくてもいいんじゃない? あたしはいつもすぐ近くにいるわけだし」

「いや、そうじゃなくて、俺、次は、そのうち恋人ができたら、その子としたい」

「へえ」

「いつでも抱けるからって、身体の求めるままにミカさんを抱くことなんて、したくないんだ」

「殊勝じゃない。若いくせに。でも、身体が疼いてしょうがない夜はどうする?」

「一人でやるよ」

「不憫なヤツ……」

「だってさ、高校生なんてそれが普通でしょ? 俺も水泳教室のナイスバディの女性インストラクターを思い出しながら一人エッチするよ」

 

 ミカは健太郎の頭を乱暴に撫でた。「早く彼女を作りな」

「できるかな」

「できるさ。お前ぐらいのルックスと体つきと性格なら、女のコは黙っていないだろ?」

「どうかな……」健太郎は照れて頭をかいた。

「健太郎」

「なに?」

「今夜のこと、秘密にしとく?」

「え? どういうこと?」

「ケンジやケネスに話してもいいけど」

 

 健太郎は少し考えて言った。「とりあえず秘密にしといて。ミカ先生」

「わかった。そうするよ」

「俺がケンジおじや父さんやマユミ母さんにもし訊かれたら話す。それでいい?」

「それでいいよ。しばらくは二人だけの秘密だね」

「うん」

「でもさ、」

「なに?」

「健太郎が、ケネスの子じゃないってことに気づくのは時間の問題だ、ってたぶんみんな思ってるよ。お前は自分の血液型もケネスのそれも知ってるわけだしさ」

「うん。そうだね」

「そこんとこはどうする?」

「それも俺が切り出すよ。折を見て」

「そうか。それがいいね」

 

「ミカ先生、」

「なに?」

「俺にとっても8月3日は記念日になっちゃった」

「そうだな、初体験記念日」

「ケンジ父さんといっしょだ」

「お前、いいなあ。父親が二人。しかもどっちもお前を愛しているし、強い絆で結ばれてる」

「それにセクシーなおばさんもいるし、かわいい母さんや妹、それに俺にそっくりないとこ、あれ? 弟になるのかな」

「もう何か複雑すぎて、よくわからなくなってきたな」ミカは笑った。健太郎も笑った。

「俺、ミカ先生、好きだよ」

「あたしもだ、健太郎」

 二人は抱き合い、軽くキスをしたあと、見つめ合って微笑んだ。

 

 

「これ、返すね。ありがとう、ミカ先生」健太郎はカードキーをミカに手渡した。

 それからミカは健太郎を隣の部屋まで送った。部屋の前でミカは健太郎に言った。「本当に我慢できなくなったら、こっそり言いな」

「だから、次は彼女とやるってば」

「じゃあ、あたしが健太郎に抱かれたくなったら、言うから。その時はまた抱いて」

「え? お、俺に? 抱かれたくなる?」

「もちろん君が彼女を作るのを邪魔したりはしないよ。心配するな」

 

 健太郎は赤面してぎこちなく微笑んだ。

 

 ミカは部屋に戻り、テラスに出て、激しく健太郎と愛し合ったデッキチェアに横になった。二人の温もりがまだ残り、ミカの身体がまた少し熱くなった。いつしか鳥が鳴き始め、新たな一日が始まろうとしていた。

 

 

 部屋に戻っても健太郎のカラダの火照りはなかなか収まらず、眠りにつくことが叶わなかった。それでもやがて表がずいぶんと明るくなって、ようやく彼はうとうとし始めた。するとその時、不意に身体を揺すられ、健太郎は眠い目をこじ開けた。彼のベッドの横に、恥ずかしそうにもじもじしながら龍が立っていた。

「どうしたんだ? 龍」

「ケン兄ちゃん、僕、何だか変だ」

「変?」

「そ、そうなんだ」龍は少し赤くなっている。

「何かあったのか?」健太郎はベッドの上で身体を起こした。

「夢の中で、今までに感じたことのない気持ちよさが……」

「気持ちよさ?」

「起きたら、僕の、その、あ、あそこが大きくなってて、パンツの中に白くてぬるぬるしたものがさ……」

 

 健太郎はにっこり笑って不安そうな顔の龍の肩を叩きながら言った。「そうか、龍、おまえもいよいよ」

「え?」

「その夢って、」健太郎は龍の耳元に自分の口を持っていった。「どんな夢だったんだ?」

 龍はまた赤面した。「そ、それは……」

「言ってみろよ。俺も経験あるし、それが何かも知ってる。オトコなら誰でも経験することだぞ」

「そ、そうなの?」

「エッチな夢だったんだろ?」健太郎が囁いた。

「う、うん……」

「どんな?」

「え……っと、言っていいのかな……」

「言ってみな」健太郎はにこにこ笑っている。

「ぼ、僕、マユ姉ちゃんと、エ、エッチしてた」龍は思い切り赤くなってうつむいた。

「へえ、マユと?」

「うん」

「おまえ、マユのことが好きなのか?」

「え? い、いや、べ、べつにそういうわけじゃ……」

「俺がコクってやろうか?」

「い、いいよ! ケン兄ちゃん。僕がじ、自分で……」

「やっぱり好きなんじゃないか」

 龍は慌てた。「だ、黙っててよ、ケン兄ちゃん」

 

 厚手のカーテンを隔てて真雪の声が聞こえた。「二人とも起きたのー?」

「やばいっ!」龍は慌てて健太郎の隣の自分のベッドに飛び込んだ。

「起きてるぞ、マユ」

「龍くんは?」

「起きてる。むちゃくちゃ元気に起きてるぞー」健太郎は、ケットを鼻までかぶって、まだ赤面している龍にウィンクした。

「ケン兄ちゃんったらっ!」

 仕切られていたカーテンが開けられた。「何それ。何が『むちゃくちゃ元気に』よ」

 

 そのパジャマ姿の真雪の姿をちらりと見た龍は、ばさっと頭までケットをかぶってしまった。

次のページへ