Twin's Story 外伝 "Hot Chocolate Time" 第1集

第5話 めくるめくBLタイム

!!Warning!! Homosexuality expression

!!WARNING!! 男性同士の性的表現があります


 ――中二、真雪高三の秋。

 

 真雪の部屋で二人は全裸で抱き合っていた。真雪も龍もまだ大きく喘いでいる。

「真雪」龍はそう言って、また彼女にキスをした。柔らかくて温かい龍の唇の感触が真雪は大好きだった。

 

 

 真雪の熱い呼吸が収まった頃、龍は真雪の胸に顔を埋めたまま寝息を立て始めた。

「かわいい顔して……」真雪は愛しそうに龍の前髪を撫でた。

 

 

 龍と真雪はいとこ同士。この夏に真雪の方から龍に告白して交際が始まった。それからすぐ、二人は一線を越え、度々こうしてどちらかの部屋のベッドで身体を重ね合う夜を過ごし、愛を深め合っていた。

 真雪には双子の兄、健太郎がいた。

 

 

 夜中にふと目が覚めた真雪は、隣にいるはずの龍の姿が消えていることに気づいた。

「あれ? 龍?」

 

 隣の健太郎の部屋から、物音が聞こえた。真雪はそっと起き出し、ガウンを羽織って部屋を出た。そして健太郎の部屋のドアをそっと開けて、中を覗いた。

 

 


「床にひざまづけよ、ケン兄」龍が言った。

「わ、わかった……」

 健太郎は黒いレザーのビキニのようなものを穿いていた。ぎちぎちに股間が締め付けられているように見える。彼は龍に言われたとおりに床にひざまずき、前に立った龍を見上げた。龍は全裸だった。



「(え? な、何なの? いったい……)」真雪は息を呑んだ。



「いつものように縛ってやるから」龍はそう言って、健太郎を後ろ手にして、その手首を革のベルトで縛り上げた。さらに鎖のついた黒い首輪を取り出し、健太郎の首に装着した。

「ああ……」健太郎は恍惚の表情で喘いだ。

「もう興奮しているんだ。いやらしい……」

「りゅ、龍、お前のを咥えたい……」

「我慢できなくなってきたの? いいよ」


 龍は健太郎に近づき、自分のペニスを彼の顔に乱暴に押し当てた。健太郎はまた喘ぎ声を上げた。


「さあ、咥えろよ」龍は健太郎の頭を押さえつけ、無理矢理口にペニスを押し込んだ。

「むぐ、んんっ!」健太郎はつらそうな顔をした。龍は構わず奥までそれを押し入れた。


 健太郎は涙ぐみながらそれを頬張り、口を前後に動かした。


「そんなんじゃ、イけないだろ。もっと強く。強く吸うんだ!」


 健太郎はさらに激しく頭を動かした。「んん、んんっ!」そして彼の腰ががくがくと震え始めた。

 口の動きが止まり、喉の奥から呻き声が聞こえた。「ぐうっ!」


 びゅるるっ! びゅくっ! びゅくっ! びゅくびゅくびゅく……。


 龍のペニスを咥えたまま興奮が高まった健太郎は激しく射精を始めた。彼の放出した白い液は革製の黒い貞操帯の隙間から幾筋も流れ落ちた。


 龍はペニスを健太郎の口から抜き去ると、彼の両頬を平手で何度も殴った。

「なに先にイってるんだ!」

 ばしっ、ばしっ! という音が部屋中に響いた。



 もはや真雪は言葉を失っていた。その場に凍り付いたまま、しかし龍と健太郎のその異常な行為を食い入るように見続けた。



「ああ、ご、ごめん、ごめんなさい!」健太郎は涙を流しながら謝った。

 龍が叫んだ。「健太郎! もう一度咥えろ! 僕をイかせるんだ」

「わ、わかりました」


 健太郎は龍のペニスをもう一度頬張った。


 今度は龍が健太郎の頭をしっかりと掴み。無理矢理前後に激しく動かし始めた。

「んっ、んっ。んんっ!」健太郎はまた苦しそうに唾液を溢れさせた。

「も、もうすぐ……」龍も喘ぎ出した。「イ、イく、イくぞ! 健太郎!」

 龍はペニスを彼の口から抜き去った。そして自分の手でそれを掴み、健太郎の顔にその先端を向けた。

「ぐうっ!」


 びゅるるっ! びゅるっ! びゅるっ! 龍の射精が始まった。


 びしゃっ! びゅしゃっ! 精液は容赦なく健太郎の顔にかけられた。


「ああ、龍、龍……」健太郎はうっとりした声を出した。彼の顔は龍の精液まみれになっていた。

「龍、俺、また、イって……」

 龍は健太郎の髪を乱暴に掴んだ。「何だって? 勝手にイくな、って言っただろ!」

「で、でもっ!」健太郎は喘ぎながら懇願した。

 龍は健太郎の身体を足蹴にした。健太郎は床に倒れた。

「僕が許可するまでイくことは許さないからな」



 龍は倒れた健太郎の首輪を掴み、四つんばいにさせた。

「ああ、龍、龍、お、俺の中に、入れてくれ! 頼む!」

 ふふん、と龍は笑った。「もはや我慢の限界なんだな」

「ああ、早く、早くい、入れて!」健太郎は一人で腰を動かし始めた。そして自分の顔に大量にまつわりついていた龍の精液を舌で舐め取り始めた。

「まったく、淫乱なやつだな!」そう吐き捨てるように言った後、龍は健太郎の股間に食い込んでいた貞操帯を外し始めた。「外した途端、イったりするんじゃないぞ」


 健太郎は首輪だけをつけられ、全裸にさせられた。


 ばしっ! 龍は露わになった彼の尻を平手で叩いた。

「こうして欲しいんだろ?」ばしっ、ばしっ! 何度も龍は健太郎を叩いた。しかしそのたびに健太郎は熱い喘ぎ声を上げ続けた。


 いつしか、健太郎の尻は真っ赤になっていた。


「そろそろ入れてやろうか」 

 龍は縛られていた健太郎の両手を解放した。健太郎は床に這いつくばり、顎を前に突き出しながら懇願した。「入れて、入れてくれ! 早くっ!」

 

 龍は無言で自分のペニスを握り、健太郎のアヌスに押し当てた。「んっ!」そして一気にそれを健太郎の中に押し込んだ。

 

「うああっ!」健太郎は叫んだ。「で、出る、出るっ!」

「何だって? 出るだと?」龍は健太郎に挿入したまま、手を健太郎の股間に伸ばし、彼の怒張して跳ね上がったペニスに爪を立て、力一杯握った。「まだイくな、って言ってるだろ!」

「ああああああ……」

 

 龍はそのまま腰を激しく前後に動かし始めた。

 

「僕がイったらイってもいいぞ、健太郎」

「イ、イって、イってくれ! お、お願いだ!」

 龍は腰の動きを速くした。そして絶頂が近づいてきた。「あ、もうすぐ……」龍が呻いた。

「イって! イってくれっ!」健太郎が叫ぶ。

「ぐ、ぐううっ……」龍も呻く。

 

 突然龍が身体を倒し、健太郎のペニスから離した手で彼の二つの乳首をつまんだ。

 

「ああああああっ!」健太郎が最大級の叫び声を上げた。「イくっ!」

 健太郎の声と同時に龍のペニスが強く締め付けられた。

「うっ!」龍も顎を上げて身体を硬直させた。

 

 びゅくっ! 「うあああああっ!」健太郎が叫んだ。

 びゅるるっ! びゅるっ! びゅるっ、びゅく、びゅく、びゅくびゅく……。健太郎のペニスから何度も大量の精液が噴出した。

 

「ぐうっ!」びゅるるっ! 龍のペニスも脈動を始めた。

 びゅるっ! びゅくっ! びゅくびゅくびゅくっ! びゅく、びゅくっ!

 その熱い迸りは、何度も健太郎の体内に放出され続けた。

 

 

 真雪はたまらなくなって叫んだ。「やめてっ! 龍! ケン兄っ!」

 そしてドアを乱暴に閉めると、自分の部屋に戻り、ベッドに潜り込んだ。鼓動も速く、息も荒くなっていた。身体の震えがいつまでも止まらなかった。

 

 

「真雪、真雪!」

 龍の声で真雪は目を覚ました。「はっ!」

「どうしたの?」すぐ横で裸の龍が上半身を起こし、心配そうに真雪を見下ろしていた。

「りゅ、龍!」真雪は思わず息を呑んだ。

「うなされてたけど……、怖い夢でもみた?」

「ゆ、夢?」

「がたがた震えてたし、『やめて』とかつぶやいてたけど……」

「良かった……」真雪は両手で顔を覆って大きなため息をついた。

「どんな悪夢だったの?」

 顔を覆っていた手を離して真雪は言った。「聞きたい?」そしてくすくす笑い始めた。

「何だよ、今度は笑い出したりして……」

 

 

 翌朝。真雪と龍、そして健太郎は三人で朝食のテーブルを囲んでいた。

 

「な、何だって?」健太郎が真っ赤になって大声を出した。「お、俺、そんな変態じゃないからなっ!」

「わかってるよー」真雪が申し訳なさそうに言った。

「ど、どうしてお前、そんな夢みるかな。それとも、龍ってそんな趣味があるのか?」

「え? 僕?」龍がコーヒーを飲む手を止めた。

「龍、お前マユをそんな風に縛り上げたりしてるんじゃないだろうな?」

「じょ、冗談じゃない! そんなこと、するわけないでしょ!」龍は真っ赤になって否定した。

「あたしにもわかんないよー。なんでこんな夢、みたのか」

「まったく……」健太郎は生野菜にドレッシングをかけ始めた。

 

「あんなひどいことするかどうかは別として、」真雪がトーストを健太郎に手渡して言った。「ケン兄って、実は龍のこと、どう思ってるの?」

「は?」

「抱きたいとか抱かれたい、とか思ったことないの?」

「お前何言ってんだ。龍はオトコだぞ。しかもいとこだ。そんな気になるわけないだろ!」健太郎はコーヒーを一口飲んだ。

「龍は?」

「僕はちょっとだけ、興味ある」

 

 ぶぶっ! 健太郎は口に残ったコーヒーを噴いた。「ちょっ! ほ、本気かよ」

 

「ケン兄になら、抱かれてもいいな。だって、ケン兄、かっこいいもん。僕のあこがれだから。それに真雪の双子の兄ちゃんだし」

「やった!」真雪がはしゃいだ。

「ちょっと待て。マユ、何だよ『やった』って」

「現実に見てみたかったんだ、あたし。めくるめくBLの世界」

「お前平気なのか? お前の恋人を兄の俺が寝取る、なんて普通じゃないだろ! 異常すぎるっ!」

「それはそれ、これはこれだよ」

「何がこれはこれ、だ」健太郎は慌てたように再びカップを口につけた。

 

「でも、龍、」

「何?」

「ケン兄に、あんなひどいことしないでね」

「しませんよ。でももしかしたら、僕がケン兄にされるかも……」

「いや、しないから」

 健太郎はカップをソーサーに置いた。龍は笑いながらトーストをかじった。

 

2014,12,9 最終改訂脱稿

 

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《あとがき》

 作者の僕自身が、男同士の恋愛やセックスに何の抵抗もないので、こういう話を書くことは全然平気なのですが、ネット上では、敢えて『BL(ボーイズラブ)』と銘打っている作品やサイトがある以上、巷では普通の恋愛の姿ではないもの、として認識されているのは間違いありません。

 ただ、一口に男同士の絡み、と言っても、それが女性向けか男性向けかは微妙に差があるようです。一般的に男性は激しい行為を好むので、緊縛シーンや陵辱場面があるようなものを読みたがる一方、女性はベッドで甘く囁き、愛し合うようなシチュエーションが好き、という傾向にあるようです。もちろん、人の好みはさまざまですから、こういうステレオタイプな考え方だけで語れないものもあります。

 健太郎にはかなり抵抗があるようですが、龍は相手が健太郎であれば、そういう行為もできると思っているようです。でも龍は真雪とアツアツなので、しばらくはそういうことを考える余裕はないでしょうけどね。

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