《5.ケネス・シンプソン》

 

神父尊「お待たせしました、ケネス君。うぇるかむ。ぷりーず・しっと・だうん。ないす・ちゅー・みーちゅー・・・。」

ケネス「(笑いながら)無理せんといてください。神父尊さん。」

神父尊「(ケネスの手を取って)君には本当にお世話になりました。君がいなければ、このシリーズはこんなに長く続かなかったでしょう。」

ケネス「大げさですわ。わい、そんな大層なことしてへんし。」

神父尊「このシリーズの構想を練っている時、実は、君はケンジ君とマユミさん両方の共通の恋人にするつもりだったんです。」

ケネス「へ?共通の恋人?」

神父尊「はい。ケンジ君とも深い仲、マユミさんとも恋人同士。」

ケネス「いわゆる三角関係っちゅうことですか?」

神父尊「三角関係とはちょっと違います。ケンジもマユミも君がそれぞれの恋人であることを知らず、その上、ケンジとマユミが繋がった後にその事実が発覚。」

ケネス「そこで初めて三角関係になるっちゅうわけですわな。」

神父尊「まあ、そうなるね。ケンジがマユミと抱き合った時、ケネス君のにおいがしたり、ケネス君とのセックスのクセが出てきたりして、怪しみ始める、とかなんとかいう展開を考えていました。」

ケネス「それはそれで、おもしろそうでんな。」

神父尊「さらに、君がケンジ君を抱く時はS属性、マユミさんとの時はM属性にしよう、とまで考えていたんですよ。」

ケネス「ほんまに?何や、楽しそう。」

神父尊「しかし、まじめでシャイなケンジ君の親友として君を登場させたことは大正解だったと思います。」

ケネス「そうですか?」

神父尊「はい。マユミさんとケンジ君をつなぐキャラクターとしての役割だけでなく、君のその明るさと、前向きさ、ポジティブな考え方などは、物語を綴っていく上で、大変重要な要素でした。」

ケネス「そう言うていただけると・・(照れて頭を掻いている)。そやけど神父尊さん、」

神父尊「はい。何でしょう。」

ケネス「わいがカナダで暮らしとったのはたかだか7年程度ですやろ?」

神父尊「そうだねえ。君は実は日本生まれだからねえ。10歳まで日本で暮らしてたわけだし。」

ケネス「読者の皆さんは、ほんまやったら、英語なんて、ようしゃべらんのとちゃうか?って思たりせえへんかな。」

神父尊「それは、君のお父さんのアルバートさんがしっかり教育されたから、でしょ?」

ケネス「確かに親父は厳しかったなあ・・・。おかんも一緒になってわいに英語しかしゃべらせへんかったからなあ・・。」

神父尊「そうなんですね?」

ケネス「そうなんですわ。ちっちゃい頃は、家庭では日本語禁止やったんです。」

神父尊「ご両親のポリシーだったんでしょうね。しかし、君は普段はばりばりの大阪弁で話しますね?」

ケネス「大阪弁は世界で最強の言葉やさかい、英語や日本語を簡単に駆逐してしまうんですわ。」

神父尊「(思わず笑ってしまって)なるほどね。じゃあ、君が大阪弁をマスターしたのは、いつの時期?」

ケネス「実はカナダに行ってからですねん。」

神父尊「へえ。」

ケネス「あっちでは、おかん、遠慮なしに大阪弁でしゃべくってましたから、わいも、知らず知らずのうちにこないなってしもうて・・・。」

神父尊「で、自然とバイリンガルに?」

ケネス「そうです。英語と大阪弁。ちょっとだけやったら日本語も話せまっせ。」

神父尊「(大笑いする)いやあ、ウけるウける。でも君は、この小説中、おそらく最も心の広い人物として評価されているけど。」

ケネス「え?ほんまですか?何でまた・・・。」

神父尊「だって、マユミさんの心の中にケンジ君への想いを残したまま、彼女と結婚し、さらにケンジ君とマユミさんとの子である健太郎君も立派に育て上げたわけだし。」

ケネス「それは別にわいが心が広かったからやのうて、なんちゅうか、ケンジに対して嫉妬したり、ケンジと張り合ったりするっちゅう気が全くなかった、っちゅうことなんやと思いますわ。」

神父尊「そういう気にならなかった、ということ?」

ケネス「ケンジとは高校ん時から兄弟以上の関係やったし、マーユも、わいのこと、ケンジと同格に扱ってくれてましたから。」

神父尊「同格、ですか。」

ケネス「そうです。同列やのうて同格。マーユの気持ちも不思議とわいとケンジ、両方に向けられてたんですわ。極自然に、っちゅうか、当たり前みたいに。」

神父尊「なるほど。」

ケネス「そやから、ケンジもわいに対して『マユを奪った憎いやつ』とは全然思てへんと思います。」

神父尊「そうですね。それは彼を見ててもわかります。」

ケネス「同じことがミカ姉にも言えます。ほんまわいら四人の夫婦はうまいこと繋がってますわな。」

神父尊「でも、君たちがやってることって、夫婦交換、スワッピングですよね。一般常識ではかなり特異な関係。」

ケネス「羨ましいですやろ?(笑)」

神父尊「その上、君とケンジ君、マユミさんとミカさんも時々愛し合って、繋がってるわけで・・・。」

ケネス「ま、あんまり例のない関係やとは思いますけど、小説の世界やったら、読者を性的カタルシスに導く、いい設定やと思いますけどな。」

神父尊「そうだね。いろんな嗜好に対応できるわけだしね。」

ケネス「神父尊さんがバイ属性やからこそ、実現できた展開や、思いますわ。」

神父尊「それもそうだ。それはそうと、健太郎君と春菜さんの間に、二世はまだできないのかな?」

ケネス「ぼちぼちちゃいますか?わいもマーユも孫の顔、はよ見たいとは思てますけど。」

神父尊「そうなの?」

ケネス「ま、外孫はいてますけどな。真雪と龍の双子のベビー。あの子ら見てたら、うちにもやっぱ欲しくなりますわな。」

神父尊「楽しみだね。」

ケネス「よろしゅうお願いします、神父尊さん。」

神父尊「は?」